第32回 法人著作と著作権契約(2)

第31回コラムのつづき)
 この法人著作の要件たる「業務に従事する者」について、著作物の作成者が法人等と雇用関係にある場合は、これに該当しますが、法人等と作成者との間で雇用保険料等の控除・雇用契約書・勤務管理等がないような場合や、法人等が外部の者に著作物を作成させた場合(外部委託)等は、法人等と作成者との間で、作成者が「業務に従事する者」に該当するかが争いなることがあります(外部委託について第6回コラムも参照)。

 この点について、判例(最判平成15年4月11日)は、雇用関係の存否に争いがある場合は、「業務に従事する者」に該当するか否かは、法人等と著作物を作成した者との関係を実質的にみたときに、[1] 法人等の 指揮監督下において労務を提供するという実態にあり、[2] 法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを、業務態様、指揮監督の有無、対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して、判断すべきであるとしています。(第33回コラムにつづく)