第6回 著作物の作成の委託と著作権

 著作物の作成を他の人に委託(依頼)することがあります。この場合、依頼した人(委託者)が依頼を受けた人(受託者)に代金を支払えば、委託者が著作権を有すると思われるかもしれません。しかし、著作権法2条1項2号は、「著作者」とは、「著作物を創作する者をいう」としています。著作物の作成の場合、一般的には、現実に著作物を「創作」するのは、受託者なので、受託者が著作者となります。そして、著作権法17条1項は、「著作者は著作権を享有する」としているので、著作者である受託者が、この作成された著作物の著作権を有することになります。
 このように、委託者は、この作成された著作物の著作権を有しないので、委託者が、この著作物を利用するには、受託者との間で、著作物利用許諾契約や著作権譲渡契約等を締結する必要があります。また、委託者が、この著作物を改変する必要がある場合には、翻案権に関する条項や著作者人格権不行使条項等を契約書の中に入れることになります。