第76回 違法ダウンロードの刑事罰化(2)

第75回コラムのつづき)そこで、平成24年の著作権法の改正では、有償著作物等(CD発売又は有料配信された音楽やDVD発売又は有料配信された映像等)を違法にアップロード・配信した音楽や映像であると知りながら、これらを著作権者に無断で録音・録画(違法ダウンロード)した場合は、私的使用の目的であっても、刑罰の対象となりました(119条3項)。

 これについて、違法ダウンロードとして刑罰の対象とされるのは、「『有償』著作物等」(録音され、又は録画された著作物又は実演等であって、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの)に対する行為です。そのため、テレビ番組は、DVD発売又は有料配信等されていない限り、無償で放送されるものなので、違法に配信されたテレビ番組と知りながら、著作権者に無断でダウンロード(録画)をしても、原則として、刑罰の対象とはなりません。もっとも、このようなテレビ番組のダウンロードも、違法なので(同法30条1項3号)、損害賠償責任(民法709条)は負います。(第77回コラムにつづく)