第75回 違法ダウンロードの刑事罰化(1)

 昨今のデジタル化・ネットワーク化の進展により、インターネットで、音楽を聞いたり、映像を見たりすることは、今や当然のこととなりました。しかし、その一方で、インターネット上では、著作権者に無断で違法に配信された音楽や映像が無数に存在しており、これにより、著作権者は大きな経済的損害を被っています。

 このため、著作物たる音楽や映像を違法にアップロード・配信する行為については、公衆送信権(送信可能化権を含む)を侵害するものとして、損害賠償責任(民法709条)を負うだけでなく、従来から刑罰の対象となっていました(著作権法119条1項)。これに対し、違法にアップロード・配信された音楽や映像と知りながら、著作権者に無断でダウンロード(録音・録画)する行為については、私的使用目的であっても、違法とされ(同法30条1項3号)、損害賠償責任を負うものの、刑罰の対象とはされていませんでした。 しかし、近年、違法ダウンロードによる被害がより深刻化しています。(第76回コラムにつづく)