第73回 映像・ゲームの著作者と著作権(3)

第72回コラムのつづき)この[3]の場合、当該「映画の著作物」について、著作者人格権は、『全体的形成に創作的に寄与した』著作者に帰属しますが、著作権は、当該著作者が、「映画製作者」に対し、当該「映画の著作物」の製作に参加することを約束しているときは、著作者ではなく、「映画製作者」に帰属します(著作権法29条1項)。例えば、劇場用映画の『全体的形成に創作的に寄与した』監督が、「映画製作者」たる映画会社との間で、製作についての参加契約を締結している場合は、当該劇場用映画の著作権は、映画会社に帰属します。

 ここでいう「映画製作者」とは、映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいいます(同法2条1項10号)。すなわち、映画の著作物を製作する意思を有し、著作物の製作に関する法律上の権利義務が帰属する主体であって、そのことの反映として同著作物の製作に関する経済的な収入・支出の主体ともなる者をいいます(東京高判平成15年9月25日、知財高判平成18年9月13日)。(第74回コラムにつづく)