第67回 キャンディ・キャンディ事件にみる原作者の権利(4)

第66回コラムのつづき)このように、キャンディ・キャンディ事件の最高裁判決は、二次的著作物において、原作者の著作権は、原著作物と共通しその実質を同じくする部分だけでなく、新たに付与された創作的部分にも及ぶことを示しました。この最高裁の考え方によれば、小説等の原作をもとにした映画等の二次的著作物において、映像等の新たに創作された部分にも、原作者の権利が及ぶということになります。そうすると、先の例(第64回コラム参照)については、原作者たる小説家の許諾を得なければ、当該小説を原作とする映画のシーンを集めた写真集を作成することはできないということになります。

 小説や漫画を原作として映画化やドラマ化等をする場合、これに関連する商品を製造・販売することも多いと思いますが、このような関連商品についても、原作者と協議をしていなければ、後にトラブルが生じる可能性があります。原作をもとに映画化等をする場合、映画化・ドラマ化の契約だけでなく、関連商品について契約することも、法的に重要です。