第65回 キャンディ・キャンディ事件にみる原作者の権利(2)

第64回コラムのつづき)小説は文字からなるものであるのに対し、映像は映画で新たに付与された創作的部分なので、この映像部分について、原作者が権利を有しないのであれば、映画の著作者は、原作者たる小説家の許諾を得なくても、映画のシーンを集めた写真集を作成できることになります。

 この点について、キャンディ・キャンディ事件(最判平成13年10月25日)が参考になります。この事件は、小説形式の原作原稿に基づいて制作された連載漫画の漫画家Yが、当該漫画の原作者Xに無断で、主人公を描いたリトグラフと絵はがきを作成・販売したため、XがYに対し、Yが作成した当該リトグラフ及び絵はがきの原画の作成等の差止め等を求めたもので、[1] 本件連載漫画がX作成の原稿を原著作物とする二次的著作物であるか、[2] 本件連載漫画で新たに付与された創作的部分も含めて、本件連載漫画全体の利用に関し、原作者Xは、Yと同一の権利を有するかが争点となりました。(第66回コラムにつづく)