第53回 利用規約と消費者契約法(3)

第52回コラムのつづき)また、[1] 利用規約の免責条項に関して、「当社の損害賠償責任は○○円を限度とします」というように、事業者の損害賠償責任の一部を免除する条項を規定する場合もあります。この点について、消費者契約法は、事業者の故意又は重過失による債務不履行・事業者の債務の履行の際の故意又は重過失による不法行為によって消費者に生じた損害について、事業者の損害賠償責任を一部免除する契約条項を無効としています(同法8条1項2号、4号)。これにより、「当社に故意又は重大な過失がある場合を除き、損害賠償責任は○○円を限度とします」と規定することが考えられます。もっとも、このような事業者の故意又は重過失を除く一部免責条項であれば、常に無効にならないというわけではなく、規定した損害賠償額が著しく少なく、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであれば、当該一部免責条項は無効となる可能性があります(同法10条)(消費者庁企画課編「逐条解説消費者契約法(第2版)」201頁参照)。(第54回コラムにつづく)