第52回 利用規約と消費者契約法(2)

第51回コラムのつづき)まず、[1] 利用規約の免責条項については、事業者は、想定外のリスクを回避するために、「当社は発生した損害について一切責任を負いません」と規定する傾向にあります。しかし、消費者契約法では、事業者の債務不履行・事業者の債務の履行の際の不法行為・有償契約の目的物の瑕疵によって消費者に生じた損害について、事業者の損害賠償責任を全部免除する契約条項を無効としています(同法8条1項1号、3号、5号)。そのため、利用規約において、事業者の損害賠償責任の全部を免除する条項を規定するのであれば、記載を工夫する必要があります。例えば、(ア)債務の範囲が履行可能な範囲に限定される趣旨が利用規約の解釈において疑義が生じないように文言上明らかにすること、(イ)目的物の瑕疵担保責任については、瑕疵のないものと交換する規定や瑕疵を修補する規定を設けること(同法8条2項)等が考えられます(消費者庁企画課編「逐条解説消費者契約法(第2版)」182、196~197、204~205頁参照)。(第53回コラムにつづく)