第42回 店舗内で流す音楽・映像と著作権(3)

第41回コラムのつづき)これに対し、テレビ放送を、「家庭用のテレビ」を使って、店舗内で流す場合は、たとえ店舗内で「営利目的」の活動を行っていたとしても、著作権者の許諾は不要とされています。これは、著作権法38条3項後段が、「家庭用のテレビ(家庭用受信装置)」を使う場合に限り、[1]非営利や [2]無料(第40回コラム参照)を要件とすることなく、放送された著作物を、公衆に見せることを認めているためです。

 一方、巨大スクリーンを使って、テレビ放送を店舗内に映し出す場合は、原則として、著作権者の許諾が必要です(同法38条3項前段)。このことから、野球・サッカー・オリンピック等のスポーツイベントのテレビ中継を、店舗内で巨大スクリーンを使って流す場合には、注意が必要です。また、公共の施設等において、パブリックビューイングとして、巨大スクリーンを使ってテレビのスポーツ中継を映す場合も、入場料を徴収したり、飲食物等を販売したりすると、著作権法上、問題が生じる可能性があります。