第59回 著作権法における登録制度(1)

 著作権法には、登録制度があります(同法75条~78条の2、88条、104条)。この登録制度については、「登録しなければ、著作権は発生しない」と誤解されている方もいるようですが、著作権は、著作権の登録をしなくても、著作物を創作すると同時に発生します(無方式主義 同法17条2項)。このように、著作権の登録は、著作権の発生要件ではありませんが、著作者の推定や対抗等の法的な効果を生じさせるという意義があります。以下、著作権法における登録制度の種類とその内容・効果を見ていくことにします。

 まず、[1]無名又は変名(ペンネーム等)で著作物を公表した著作者が、当該著作物について、その実名(本名)を登録する「実名登録」があります(同法75条1項)。これにより、実名の登録がされた者は、当該著作物の著作者と推定されます(同条3項)。また、当該著作物の著作権の保護期間は、無名又は変名では公表後50年だったものが、著作者の死後50年ということになります(同法52条1項、2項2号、51条2項)。(第60回コラムにつづく)