第56回 ダンス教室と著作権(1)

 ダンスミュージックの流行や中学校でのダンスの必修化等の影響もあり、ダンスを指導するダンス教室が増加しているそうです。ダンスは、音楽に合わせて行うものであり、ダンスを教えるためには、音楽の使用が当然必要となります。一方で、この使用される音楽にも著作権があります。そして、著作権には、著作物を無断で公衆に対して演奏されない演奏権というものがあります(著作権法22条)。さらに、この演奏権の「演奏」には、楽器で音楽を演奏することだけではなく、CD等に録音された音楽を再生することも含まれます。

 それでは、ダンス教室でダンスを教える場合、著作権者からの許諾を得ないで、CD等に録音された音楽を再生することは、この演奏権を侵害することになるのでしょうか。この点について、かつて、著作権者から許諾を得ずにCD等に録音された音楽を再生したダンス教室が訴えられたことがありました(第一審:名古屋地判平成15年2月7日、控訴審:名古屋高判平成16年3月4日、上告審:最決平成16年9月28日)(第57回コラムにつづく)