第44回 著作権と所有権(2)

第43回コラムのつづき)このように、所有者であっても、著作物を自由に利用することはできません。しかし、画家が描いた絵画等の美術のオリジナル作品(原作品)の所有者は、この作品を公に展示することを期待して、絵画等を購入すると考えられます。そこで、著作権法45条1項は、著作権者の許諾がなくても、絵画等の美術のオリジナル作品の所有者が、その作品を公に「展示」することを認めています。

 もっとも、本条項により、展示が認められるのは、オリジナル作品に限られています。印刷物等の複製物を展示するには、著作権者の許諾が必要です。また、美術作品でない小説家の原稿等の展示については、本条項の適用はないとされているので、原稿等の所有者がこれを展示するには、著作権者の許諾が必要となります。さらに、美術のオリジナル作品であっても、これを一般公衆の見やすい屋外に恒常的に設置することは、著作権者に対する不利益が大きいとして、著作権者の許諾がない限り、認められていません(同条2項)。