第35回 独占的利用許諾契約と電子書籍

 著作権者が、他人(ライセンシー)に、著作物の利用を許諾する契約を著作物利用許諾契約といいます(著作権法63条1項)。この著作物利用許諾契約には、著作権者が、当該契約のライセンシー以外の者に対しては、当該著作物の利用を許諾してはならないとする独占的利用許諾契約と、当該ライセンシー以外の者に対する許諾も可能とする非独占的利用許諾契約とがあります。契約書に、特に規定がない場合は、非独占的利用許諾契約となるのが原則です。また、独占的利用許諾契約には、著作権者自身の利用を認める場合と認めない場合があり、後者の場合は、契約書に、その旨を規定する必要があります。

 ところで、著作権法(80条1項)は、出版権について、その対象を紙媒体に限定しています(第19回コラム参照)。そのため、電子書籍については、著作権法上の出版権の設定はできないとされています。そこで、電子書籍においては、出版権設定契約に代わって、独占的利用許諾契約を締結する事例が増えています。