第34回 法人著作と著作権契約(4)

第33回コラムのつづき)
 この点について、法人著作は成立しないが、法人等と作成者との間で、著作権の黙示の譲渡が認められるような場合があります。しかし、このような場合も、著作権譲渡契約書を作成すべきであるといえます。なぜなら、[1] 法人等が翻案権等及び二次的著作物の利用に関する原著作者の権利を譲り受けるには、これらの権利が譲渡の目的となっていることを契約書で特掲する必要があり(著作権法61条2項)、また、[2] 著作者人格権は譲渡できないため(同59条)、著作権を譲り受けた法人等が、当該著作物を自由に改変するには、著作者人格権の不行使特約等を契約書に規定する必要があるからです。
 以上から、法人等が明確な雇用関係にない者や外部の者に著作物を作成させる場合(例えば出版社がフリーライターに原稿を作成させる場合)は、法人著作が成立しない可能性があり、また、法人等と作成者との間で、著作権の黙示の譲渡が認められるとしても、著作権等について明文化すべき事項があるので、著作権譲渡契約書等を作成すべきです。