第28回 医療機関における個人情報保護(3)

 厚生労働省の「ガイドライン」(第26回コラム参照)は、個人情報保護法に基づき、医療機関における個人データの「第三者への提供」について、以下のように定めています。
 医療機関は、一定の場合(意識不明の身元不明の患者の家族からの安否確認等)を除き、あらかじめ患者等の同意を得ないで、個人データを第三者に提供することはできません。
 この同意について、他の医療機関等との連携や家族等への病状説明等の際、患者の個人データを他の医療機関や家族等に提供することがありますが、この個人データの提供が、患者への医療の提供のために必要であり、かつ、個人情報の利用目的として院内掲示等により明示されている場合は、当該個人データの提供について、患者から黙示の同意が得られたものと考えられています。もっとも、この院内掲示等には、患者が、上記のような黙示の同意について留保できる旨等を記載する必要があります。利用目的を記載した院内掲示等は、医療機関における個人情報保護において、重要な役割を果たすものといえます。