第20回 出演契約と実演の二次利用

 劇場用映画においては、著作権法上、出演者(実演家)が、当該映画について自己の実演を録音・録画することの許諾をすれば、当該実演をDVD化等で二次利用する場合でも、出演者の再度の許諾は不要とされています(著作権法91条2項等「ワンチャンス主義」)。そのため、出演者が二次利用についての報酬を製作者と協議できるのは、この録音・録画の許諾をするときだけということになります。そこで、映画の出演時の契約においては、当該録音・録画の許諾に加えて、二次利用に伴う報酬等を規定することが重要となります。
 これに対し、テレビ番組等における実演を録音・録画する場合は、上記のようなワンチャンス主義の適用はないとされているので(同法93条1項、63条4項、103条参照)、出演時の契約で、出演者から、当該実演をDVD化等で二次利用することの許諾を得ていなければ、二次利用する際に、改めて出演者全員の許諾が必要となります。そこで、この場合は、出演時の契約において、二次利用の許諾・範囲・報酬等を定めておくことが必要です。