第18回 著作権等に関する業界の慣行の法的効力

 各業界には、著作権・著作隣接権・出版権に関する慣行があります。そして、この慣行は、業界内の当然のルールとして書面による明示がなされていないことが多いようです。
 しかし、著作権等に関する紛争が生じた場合に、裁判所が、このような明文のない業界の慣行について、法的効力を認めるとは限りません(東京高判昭和61年2月26日参照)。
 そこで、業界の慣行に、法的な効力を生じさせる方法として、以下のようなものが考えられます。まず、[1] 業界の慣行の内容を、著作権・著作隣接権・出版権の形に変更して、契約書に反映させる方法があります。例えば、「他の出版社は、当該著作物を最初に出版した出版社の立場を尊重して、3年程度は同一著作物の出版を差し控える」という慣行がある場合は、この慣行を、著作権者と著作物を最初に出版する出版社との間の出版権設定契約の形にすることで、その目的を達成することができます。また、[2] 業界団体の規程に、慣行の内容を定めることにより、当該慣行に法規範性が生じる場合があります。