第9回 ホームページ制作業務委託契約書における権利関係

 ホームページの制作に関する業務委託契約書の中には、(1)ホームページの制作に関する事項、(2)ホームページの維持管理に関する事項、(3)知的財産権(著作権等)の処理に関する事項が1つの契約書に入っているものが散見されます。しかし、(1)は請負契約であるのに対し、(2)は請負契約と準委任契約の要素が入ったもので、両者は、法的性質、効果(解除や危険負担等)、対価及び契約の有効期間等が異なります。また、(1)(2)が業務を他人に委託する事項であるのとは異なり、(3)は知的財産権の譲渡や利用許諾等の権利処理に関する事項です。そして、これら3つは、個々に複雑な権利関係を有しています。

 このように、権利関係の異なる3つの複雑な事項が1つの契約書の中にあるとすれば、契約書が煩雑になるだけでなく、自ずと法的な欠陥が生じ、そこからトラブルが発生する可能性が高くなります。そこで、上記3つの事項を別々の契約書に分け、詳細な条項を定めることで、権利関係が明確になり、トラブル発生のリスクが軽減されると考えられます。